青冷協/倉青協
IoTをテーマに勉強会を開催
ロボット技術や音声認識システムを学ぶ
9月15日、冷蔵倉庫業青年経営者協議会(阿部浩明会長)が都内で開催した勉強会に、倉庫業青年経営者協議会も参加しました。今回のテーマは「物流とIoTの融合」。低価格音声システムや倉庫内GPSによる動態管理・作業効率化、RFIDによる最新管理方法、トラック待機問題管理システム、物流とロボットなどに関する講演と展示が行われました。
産業ロボットの将来性
最初に登壇したのは安川電機ロボット事業部の南悠祐介氏。「産業ロボットを活用したラベル貼付機器」の演目で講演しました。冒頭、南氏はサトーが取り扱うラベル自動貼付機器との協業により、産業ロボットを使ったラベル貼りの様子を動画で紹介。続いて、同社のロボット事業部の概要、産業用ロボットをはじめ、クリーンロボット、人協働ロボットなどの各ロボットの特性を説明しました。
産業ロボットの市場規模は、日本では2015年は3.3万台ですが、2018年には4.0万台(21%増)と予測されます。日本はロボット大国といわれますが、中国では7.5万台(2015年)がすでに導入されており、2018年には倍増の15.0万台に達すると言われています。また、世界では2015年の26.4万台から2018年には40.0万台(75%増)になると予測されるなど、ロボットの導入は予想以上のスピードで進んでいます。
ロボットの強みは決められたことを決められた通りに繰り返し行うこと。これを土台にカメラやセンサー技術が発達し、少量多品種も扱うことが可能になりました。今後、ロボットはさまざまな産業市場での普及が見込まれています。
最後に、食品業界や物流業界での実例を紹介し、ロボット導入によって従来の1・5倍の処理能力を実現したことを強調ました。南氏は「物流業界からはカゴ車への積込みに関する問い合わせが多い。今後も、これまで人手を必要としていた領域でさらなるロボットの活用が進むだろう」と述べました。
音声案内システムでピッキングが効率化
続いて、サトー・ソリューション事業統括部の天川広一部長が「Visual Warehouseを使った庫内作業の平準化・生産性工場-物流センターにおける屋内位置情報の活用と経路案内-」と題して講義しました。位置測位技術にはさまざまな手法がありますが、同社はBLE(Bluetooth low Energy)技術でタグ電波の角度と位置アルゴリズムを活用し、50㎝程度の位置精度を出せる「Quuppa」を推奨。他社技術と比べてHW機器が低コスト、屋外でも使用可などの特徴があります。なかでもマイナス零度以下の環境下でも使用できるため、冷凍倉庫でも使用できることが一番の利点と強調しました。
続いて、この技術を使って冷蔵倉庫で何ができるかを提案しました。具体的には、位置測位技術とRFIDを組み合わせたり、AGV(無人搬送車)を活用した棚卸や、写真撮影のみで商品のサイズを測定し、空いている棚に収納する仕組みなど。高精度のリアルタイム位置測位技術を用いて現場を可視化する実験について紹介しました。
また、音声案内システムによるピッキングの効率化なども紹介しました。これは独自に開発した最短経路アルゴリズムで作業者を音声で誘導することで、経験値に左右されることなく効率的にピッキングできるというもの。音声によって「ハンズフリー」「アイズフリー」「プロセスフリー」が実現し、無駄な動作が不要になると述べました。
クラウド型車両認識システム
最後に、シーイーシーの中村景氏が「車両待機問題対策ソリューション」の紹介を行いました。同社が開発したクラウド型車両認識システム「CaoThrough」は、IoTで車両を検知しクラウドで車両情報を保管するのが特徴。他デバイスと連携でき、蓄積データの分析も可能です。この技術と仕組みを活用し、トラック予約システムや荷待ち時間集計システムなどを提案しました。なお、IoTでの車両検知方法には、ETC車載器のIDを車両情報として検知する方法と、RFIDを車両に配布して車両情報を検知する方法とがあります。
導入事例では、「CaoThrough」と監視カメラ、信号灯、ゲート装置の連携によって受付を無人化した物流センターをはじめ、搬入車両入退管理システムを導入したショッピングセンターなどを紹介しました。
